2024-01-12から1日間の記事一覧

【JKプロレス】前田陽菜vs大塚咲来②

ゴングが鳴ってすぐさまローキックを放つ。咲来の得意分野だ。様子を見ている間に攻め込まれると分が悪い。だったら自分から仕掛けてやる。 意表を突いたつもりでいたけど、これはあっさりガードされる。さすがにこの程度で動揺は誘えない。こっちだってそん…

【JKプロレス】前田陽菜vs大塚咲来

雪が降るかもしれないと朝の天気予報では言っていた。冬の空はどんよりとしていて、気持ちまでどんよりとしてしまいそうだ。時折吹く強い風に押されるように街路樹の枝がやんわりとしなる。 昼休みが終わってからの授業は上の空になってしまい、窓の外に目を…

【JKプロレス】前田陽菜vs安田葵

リングに上がると安田葵はさっき見たような目はしていなかった。あれは何だったんだろう。 「よろしくお願いします!」 握手を交わす時、安田葵もか細い声で「よろしくお願いします」と言ったのがぎりぎり聞こえた。 試合開始のゴングが鳴る。すぐに跳びかか…

【JKプロレス】井上ひかりvs安田葵

井上ひかりと安田葵の試合は序盤こそいい勝負だったけど、後半は安田葵ペースだった。 安田葵の投げ技に押し負けず井上ひかりも飛び技や関節技で応戦していた。でも関節技がなかなかいい形に極めさせてもらえず、じわじわと体力差がついていった。 バックド…

【JKプロレス】岩田結菜vs大塚咲来

白浜女子2年の岩田結菜の試合はよく覚えている。 去年の南関東大会で観た時は、試合序盤でも大技を出してくる選手だった。フィニッシュホールドにしてもおかしくないようなレベルの裏投げを開始数分で決めてしまう。強烈な投げ技の合間にも容赦ない飛び技や…

【JKプロレス】前田陽菜vs新井美紀

「安田さんさっきのキャプチュード凄かったね」 「あ、うん。ありがとう」 「あんな難しい技、試合で決めちゃうなんて。生で見たの初めてだったよ」 「あんまり使う人、いないよね」 安田葵はぼそぼそと喋る。胸元まで伸ばした綺麗な髪に、透き通るような白…

【JKプロレス】安田葵vs新井美紀

Bグループ第二試合は紫苑女子の1年安田葵と川崎中原の2年新井美紀だ。新井美紀はすらっと背が高く手足が長い。長めの茶髪で、ドラマに出てきそうな雰囲気だ。 安田葵は中学の時に何度か戦ったことがある。ある意味やりにくい相手だ。戦闘スタイルが私に近い…

【JKプロレス】大塚咲来vs大橋未来

咲来の第一試合は接戦だった。 相手は緑ヶ丘学園の一年大橋未来。プロレス歴はわからない。中学からやっているようにも見えた。 咲来のローキックにはほとんど対処できていなかった。何発も綺麗に入って咲来が優勢と思いきや、なかなか相手の動きが落ちない…

【JKプロレス】前田陽菜vs井上ひかり

開会式が終わるとすぐに試合が始まる。私はBグループの第1試合なので先にアップをして身体を温めた。 冬の午前中なので少し身体が固いのでアップは入念にやった。咲来にも付き合ってもらってロックアップからの動きも軽く確認しておく。 第1試合の相手は井上…

【JKプロレス】冬季交流試合

もう駅からの道も慣れたもので、マップを見なくても、考え事をしながらでもたどり着けるようになった。隣にいる咲来はマフラーで口元まで隠れ、少しでも冷たい外気に触れまいとしている。緊張しているかどうかは見て取れないけど、今日の試合を楽しみにはし…

【JKプロレス】陽菜と咲来

「いっ…!」 まどかさんがタップした。飛びつき腕十字、だいぶ様になってきた。相手に飛びついて倒し、そのまま腕十字固めに入る。倒してから動きの無駄なくスムーズに技に入れれば極めやすい。そこまでの動きをまどかさんと反復練習しているのだ。 「前田さ…

【JKプロレス】冬休み

月が二桁になると時間はあっという間に過ぎる気がする。ついこの前10月になったばかりなのに気付けばもう年末が近づいている。何なら少し前までセミが鳴いていた気さえしているけど、もう朝晩はコート無しでは自転車に乗れない季節になっていた。 落ち葉で覆…

【JKプロレス】高山美優と新大久保

電車が止まり扉が開くと乗客同士がぎゅうぎゅうになってホームに押し出されていく。人の波に乗ってやっとのことで駅から出た。道行く人たちは薄手のコートを着ている。空はどんよりとした色ですっかり秋の空という感じだ。雨が降り出しそうな暗さなのに、相…

【JKプロレス】関節技練習②

「そうそう、片足取ったらチャンスだね。片逆エビ固めから移行できるから、片足さえ取れればいいよ」 教えてくれたのはSTFだった。うつ伏せの相手の片足を曲げて自分の両足で挟み込み、背後からフェイスロックをかける技だ。タックルでテイクダウンしてかけ…

【JKプロレス】関節技練習

「全っ然ダメね」 交流試合の報告を聞いた美月先輩の第一声がこれだ。肩に付くくらいの長さの髪を無造作にかき上げながら先輩は言う。 「紫苑の子との試合はまぁともかく、沙耶香とは前半は上手く戦ってたけど後半は防御そっちのけでひたすら攻めましたって…